購入経験者の65.5%が建物調査を知らない!
最近、「中古住宅を買って、リノベーションしよう」というフレーズを、様々なところで見かけるようになりましたね。
それは中古戸建を買ってリフォームする事で、新築ではちょっと難しいと感じる便利な場所に、新築同様の機能を備えた家で暮らす事ができるからです。
新築に比べると低価格で、しかも自分好みの家に住めるということに魅力を感じる世代が増えています。
ただ、中古住宅購入時には心配も付きもの。
もし雨漏りしたらどうしよう……
床が傾いているんじゃ?
など、通常の物件内覧時には即座に判明できない不安がたくさんあります。
そのため、価格が「安い!」と思ったとしても、購入を決断するには なかなかハードルが高いのが現状です。
その不安を解消するのが、「インスペクション」といわれる建物調査です。
インスペクションとは、購入するかどうかの判断のために建築士等専門家による事前検査を行い、床の傾きや、雨漏りの不安などを確認するという建物調査です。
ただ、多くの方は、こういったサービスがあることも知りませんし、まだまだ一般に普及しているとはいえません。
なんと購入経験者の65.6%が、建物調査を知らずに購入しているのです。
国交省主導でインスペクションの整備がスタート!
建物調査では、どういった点を調査すればよいのでしょうか。
平成25年6月に、国土交通省にて「既存住宅インスペクション・ガイドライン」が発行されました。
現在、民間事業者により実施されている「インスペクション」といわれるサービスには、中古住宅の売買時検査のみならず、新築入居時の検査やリフォーム実施時に行うものなど様々あります。
それを大きく3つの段階に分け、その中でも中古住宅購入時に、不動産購入の取引に合わせて行うことができる建物検査というものをガイドラインが提示しています。 その検査では、物件購入前に確認する程度ですので、壁を壊したり、はしごを使って屋根に上がることなどはしません。
検査では、大きく分けて次の3つの状態を確認します。
建物調査の検査内容
① 外回りの状態
基礎表面の状態、外壁表面ヒビや防水の状態、屋根の防水や仕上げの状態、軒裏の仕上げや表面の状態 など
② 室内の状態
壁・柱・梁の耐久性や傾斜の有無、床の状態や著しい傾斜の有無、天井の雨漏りや水漏れの状態、サッシ・ドアの動作や状態 など
③ 床下の状態
耐震性能の有無、シロアリの被害、構造耐久力や劣化状態、基礎や土台・束の支持状態、断熱材等の状況 など
また、すべての検査は概略60分~120分ぐらいの間で終わることがほとんど。 普段生活されているままの状態で、実施できるのも嬉しいポイントですね。
インスペクションで重要なのは、その目的をはっきりさせること
1~2時間の検査においても、建物のすべてを把握することは不可能です。
インスペクションの費用を負担して建物を検査しても、結果、その建物が100%問題ないと言い切ることはできません。
自らの物件購入基準において、何をクリアすれば購入の決断ができるかをインスペクションの内容と照らし合わせて考えないと、無用な資料となってしまいます。
壁が撤去できるかを検討するのであれば、撤去してもよい壁かどうかを「耐震診断」することが必要ですし、フラット35が使えるのかを検討するのであれば、適合技術者による検査が必要となります。
自分の思い描くリフォームにどのぐらいの費用がかかるのかを知るには、リフォーム会社に相談しなければならないでしょうし、そのためにかかる時間を、不動産仲介会社に物件を押さえていただくようにお願いしなければなりません。
だからまずは、「インスペクション」をお願いする際は、何のために行うのかをお考えいただく必要があります。
ぜひ、建築士等プロの意見を活用のうえ、安心の中古住宅探しを行っていただければと思います。