行政の検査だけでは不安なの?


建築物はそもそも「建築基準法」という法律にもとづいて
建築士が申請し、官公庁による建築確認や建築検査などを経て建てられたものなので
そもそも検査されて安心・安全であるはずですよね。

もちろん、建築する建設会社も免許をもったれっきとした技術者が
責任をもって施工しています。
なのに、それをまた第3者が検査するっておかしくないですか?
プロならご立腹の事態です。
でもそうでもしないといけないくらい
「建築士」・「施工会社」への信頼が低いのだと思います。

建物の建築は、建築基準法という基本的な法律に定めらた基準にもとづき
設計、施工されていると初めにご説明しましたが
一定の規模以上の建物の建築を行うには、各都道府県の建築主事にも申請をします。
いわゆる「確認申請」というものです。
この申請が許可されて、ようやく建築工事着手へと進むことができます。
もちろん、この時点で構造上の確認なども、しっかりチェックされています。
われわれ設計事務所・施工会社は「確認申請」が下りてようやく
仕事が始まるという認識をもっています。

では、工事がしっかりと申請されたとおりに行われているかは
どのように確認しているのでしょうか?
それもしっかりと建築基準法にもとづき規定されています。
規模に応じて行政による「中間検査」・「竣工検査」が実施され
「検査済証」が発行されることにより、ようやく建物に安心・安全のお墨付きがもらえるのです。
この流れで、ほとんどの建築物が安心・安全を約束され、建築されています。
今、現在もほとんどの建物がそうです。

ここまで読んでいくと、十分な気がしますよね。
問題はそこではないのです。
どこかといいますと
「実際にその法律上の流れが完全に機能していたのか」
という点なのです。

実は平成10年までは、建物の「建築確認」・「検査事務」は
地方公共団体(建築主事)だけで行っていました。
その中で

・実際事実上検査が行なわれなかったり
・検査が行なわれた場合でもずさんであったり
・おざなりな検査であったりした

ケースが多発したようで、欠陥住宅災害が発生する原因となっているとする指摘がありました。

例えば、一昔前の建築で検査済証がない物件などたくさんあったといわれています。
つまり建築するときは、その前に承認をもらっているが
そのとおり建築されたかはわからないということなのです。

日弁連などが建築士の協力を得て調査したところによれば
建築確認とまったく異なった建造物が建設された例や
手抜き工事の例が発見され、当時の建築基準法、あるいは住宅金融公庫標準仕様書
日本建築学会標準仕様書などが定める基準を満たさないものが非常に多いことが判明しました。

当時の建築物の着工件数に比べ、建築主事など職員の絶対数が不足していたこともあり
根本的な解決を求められたわけです。

そこで平成10年当時の橋本内閣は

・「建築確認・検査の民間開放」
・「戸建住宅・プレハブ住宅等についての中間検査制度の特例」

を設けることにより、それまで地方公共団体の建築主事のみが行なってきた
「建築確認」・「検査事務」を、民間の指定確認検査機関を創設することにより
株式会社を含む民間機関に検査体制の開放を進めました。

ここで、大きな問題の可能性は議論されました。

ゼネコンやハウスメーカーなどの株式会社(施工業者)が集まって
指定確認検査機関を作ることもできる法案であることから
公正中立な確認検査が本当に担保されないのでは
違反建築や欠陥住宅が増えるのではないかとの懸念もありました。

これに対し当時の建設大臣は、確認検査機関の指定に当たり、役職員の構成や業務内容の中立性を審査するほか
役職員に公務員と同様の罰則を適用する措置を講じ、その建築確認の報告義務を課し
不適法なものについてはその効力を失わせる等の措置を講じるなど万全を期すと答弁したといわれ
本会議で可決され、進められたのです。

確認審査機関や住宅性能評価機関などは、厳しい審査にもとづいて指定された会社であることは間違いありません。

それが原因かどうかは別として、
それから、7年後、2005年にその事件はおこりました。
詳細な事実は、裁判等に委ねるしかありませんが
結果的に、住宅供給事業者、建築士、民間確認検査機関、建設会社、官公庁を含め
建物建築プロセスに大きな不安の影をおとすことになった
「耐震偽装事件」といわれる「構造計算書偽装問題」です。

ちょうど、問題が発覚した、2005年11月は
忘れもしない、わたしが、株式会社谷工務店の代表に就任したときでした。
ここから建設業が本当の信頼を得るにどうすればいいか
という課題に立ち向かう日々が始まったのです。
そして、これが今の中古住宅に安心・安全を求める原点ともなっています。

そのあたりを次に・・・

その他、耐震診断の方法など具体的な
質問等がありましたら御連絡ください。